2026年1月28日

体質・菌叢・更年期・生活習慣から考える「歯石体質」
【この記事の監修・執筆】デンタルサロン ナチュール銀座 院長 日髙 暁子(歯科医師)
「毎日しっかり磨いているはずなのに、定期検診でいつも歯石を指摘される…」
「昔に比べて、なんだか歯石がつくスピードが早くなった気がする」
そんな悩みをお持ちではありませんか?
実は、歯石の付きやすさは単なる「磨き残し」だけではなく、お口の中の細菌の種類や、更年期に伴うホルモンバランス、唾液の性質といった「体質(歯石体質)」が深く関係していることが近年の研究でわかってきました。
今回は、最新の知見に基づき、なぜ人によって歯石の蓄積に差が出るのか、そのメカニズムを詳しく解説します。
歯石は、「歯の表面に残ったプラーク(歯垢)が、唾液中のカルシウムやリン酸によって硬く石のようになったもの」です。
プラークの中には多数の細菌がおり、そのまま数日〜数週間とどまると、カルシウム塩が沈着して次第に硬くなっていきます。一度歯石になってしまうと、歯ブラシでは取り除くことができず、歯科医院での専用器具による除去(スケーリング)が必要になります。
歯石自体は「石の塊」ですが、その表面や内部にはまだ細菌が存在し、歯ぐきの炎症や出血・歯周病の原因となります。
同じように歯を磨いていても、短期間で歯石がびっしり付く方もいれば、半年〜1年たってもわずかしか付かない方もいます。
この違いは、主に次の要素の「組み合わせ」によって生まれます。
• お口の中の細菌バランス(菌叢)
• 唾液の性質(カルシウム・リン・pH・流量・タンパク質)
• 更年期・骨密度などの全身状態
• 喫煙・食習慣・口呼吸などの生活習慣
• 歯みがきの“質”と清掃の届きやすさ(歯並び・補綴物など)
いわば、「体質」と「生活環境」が重なったところに、歯石のできやすさが現れます。
最近の総説では、歯石を作りやすい菌叢は、特定の1種類というよりも、次の機能を持つ細菌が集まった「バイオフィルム」として説明されています。
1. 初期付着とマトリックス形成:Streptococcus sanguinis, S. gordonii、Actinomyces 属などが歯面に強く付着し、他の細菌が乗る「土台」を作ります。
2. アルカリ産生(尿素・アミノ酸代謝):一部の菌が尿素をアンモニアに分解し、プラーク内のpHを上げます。pHが高くなると、カルシウムリン酸塩が沈殿しやすくなり、石灰化が進みます。
3. リン酸供給・阻害因子の分解:細菌の酵素がピロリン酸(石灰化を抑える物質)を分解し、結晶成長を助けます。
スケーリング後6か月の経過を追った研究では、以下の違いが報告されています。
• 急速形成者:尿素・リン濃度が高く、歯周病の重症度が高い。むし歯菌(S. mutans)はむしろ少ない傾向にあります。
• 緩徐形成者:Rothia 属が優位。Rothia は一酸化窒素を産生し、抗菌・抗炎症的に働く可能性が指摘されています。
(※出典:2025年 唾液メタプロテオーム解析による歯石形成速度と菌叢の研究より)
実験では S. sanguinis や S. gordonii などの初期付着菌が明らかな石灰化を起こすことが観察されています。一方で、代表的な歯周病菌である P. gingivalis などは、後から住み着く「後発組」であることがわかっています。
唾液中のカルシウム・リン酸が多く、pHが高い人ほど歯石が多い傾向にあります。急速歯石形成者では、唾液中のイオンとタンパク質のバランスが、元々「結晶ができやすい」方向に偏っていると考えられています。
本来、唾液には石灰化を抑えるタンパク質(スタセリンなど)が含まれていますが、歯石ができやすい人では、これらの量や電荷バランスが変化している可能性が示唆されています。
閉経後女性において、骨密度が低い群ほど唾液カルシウムが高いという研究報告があります。血中カルシウム動態の変化が唾液にも反映され、お口の中が石灰化しやすい環境になっている可能性があります。
臨床的にも、更年期以降に「歯石が急に増えた」「ドライマウス気味になった」と感じる方は少なくありません。エストロゲンの低下による骨密度の変化や、唾液量の減少が重なり、歯石形成を加速させていると考えられます。
体質に加えて、以下の環境要因が歯石のリスクを高めます。
• 喫煙:血流低下と炎症反応の変化により、歯周病を悪化させ、歯石を沈着させやすくします。
• 口呼吸・ドライマウス:唾液による自浄作用が弱まり、プラークが乾燥して石灰化が早まります。
• 食習慣:タンパク質や尿素が豊富な食事は、細菌によるアルカリ産生を助け、pHを上昇させます。
• 清掃の質:歯並びや補綴物の段差など、物理的に磨きにくい場所は数日で石灰化が始まります。
当院では、単に歯石を取るだけでなく、「なぜ付くのか」という背景にアプローチします。
1. 初診・カウンセリング:生活習慣や更年期の影響、服薬状況などを詳しくお聞きします。
2. 口腔内検査:プラークの付き方や、歯ぐきの状態を精密にチェックします。
3. 精密スケーリング:専用器具を用いて、歯肉縁下の見えない歯石まで丁寧に取り除きます。
4. 個別メインテナンス計画:体質に合わせて「2〜3か月」や「半年」など、最適な通院間隔をご提案します。
「歯石がつきやすい=ケアをサボっている」わけではありません。菌叢や唾液の性質、全身のホルモンバランスなど、自分ではコントロールしにくい「体質」が大きく関わっています。
大切なのは、自分のタイプを知ることです。体質に合わせてメインテナンスの頻度やケア方法を少し調整するだけで、歯ぐきの健康を長く維持することができます。最近歯石が気になり始めた方は、ぜひ一度ご相談ください。
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