2025年12月1日

WHO(世界保健機関)の報告によれば、虫歯は世界で最も一般的な非感染性疾患で、約25億人が永久歯の虫歯に悩まされています。
一方で、虫歯は本来「予防可能」な病気でもあります。
本記事では、砂糖(遊離糖類)と虫歯の関係、喫煙に潜む“見えない糖”のリスク、
そして世界的に共有されている予防の考え方を踏まえながら、虫歯の根本原因に迫ります。
虫歯(う蝕)は、世界中で最も一般的な非感染性疾患であり、25億人もの人々が永久歯の虫歯に悩まされています。
加えて、5億1000万人の子どもたちが乳歯の虫歯を抱えています。
驚くべきことに、虫歯は予防可能な疾患であるにもかかわらず、多くの国で深刻な健康負担となっています。
痛み、不快感、食事や睡眠の困難、歯の喪失、生活の質の低下など、影響は多岐にわたります。
今回は、国際的な報告を参考に、虫歯と砂糖の関係、そして効果的な予防策について整理します。
食品や飲料に含まれる遊離糖類の摂取は、虫歯の最も一般的なリスク要因とされています。
遊離糖類には次のものが含まれます。
・製造業者、調理者、消費者が食品・飲料に添加した単糖類・二糖類
・ハチミツ、シロップ、果汁、濃縮果汁に天然に含まれる糖類(絞った果汁も同じ扱い)
WHOは、遊離糖類の摂取を総エネルギー摂取量の10%未満に抑えること、可能であれば5%未満にすることが、虫歯リスクの軽減につながるとしています。
・10%未満:成人で1日約50g(ティースプーン10杯分)
・5%未満:成人で1日約25g(ティースプーン5杯分)
また、乳幼児、とくに2歳未満には砂糖入り飲料を与えないことが推奨されています。
これは、未熟な乳歯が酸に弱く、哺乳瓶・ストローマグでの持続的な摂取が酸性環境を長時間つくるためです。
(※フッ素については国や機関ごとに見解が異なりますが、当院では2歳未満のフッ素使用には慎重であり、食生活とケア方法の改善を優先しています。)
意外に知られていませんが、タバコには風味づけのためにシロップが添加されています。
しかし、問題はそれだけではありません。喫煙時、タバコは以下のような深刻な口腔への影響をもたらします。
これらの要因が重なり、喫煙者の虫歯・歯周病の罹患率が高いことは偶然ではなく、科学的メカニズムに基づく結果です。
野生動物には虫歯や歯周病がほとんど見られない一方、室内飼育のペットには明確に存在します。
・加工糖を摂取しない(自然の糖は遊離糖類とは異なる)
・硬い食物を咀嚼するため唾液が十分に分泌
・ダラダラ食べをしない(酸性時間が短い)
・加工ペットフードの摂取
・人の食事やおやつによる糖分摂取
・食生活リズムの変化
加工食品・高糖質食品の摂取習慣は、ペットと人間で共通の問題を生みます。
フッ素や歯磨きも重要ですが、まずは糖分摂取や生活習慣の見直しこそが本質的な予防策です。
虫歯は、歯の表面に形成されるプラークが食品・飲料中の遊離糖類を酸に変換し、その酸が歯質を時間をかけて溶かすことで発生します。
3要因が揃うとリスクは一気に上昇します。最重要は遊離糖類の制限で、フッ素や歯磨きは補助的手段といえます。
痛み・不快感、慢性的な感染など
食事・会話・睡眠など日常生活の制限
学校欠席や欠勤、仕事の機会損失、生活の質の低下など
世界の直接支出は年間約3,870億米ドル、生産性損失は約3,230億米ドルとされています。
糖分の表示制度、加工食品の糖分削減、砂糖入り飲料への課税、禁煙支援など。
フッ素塗布、早期治療、適切なケア指導など。
(※当院では乳幼児へのフッ素利用は慎重に判断し、セルフケアと食生活の改善を最優先としています。)
当サロンでは、国際的な予防の考え方を参考にしつつ、日本人の生活習慣や個々の状態に合わせた「健美歯科」のアプローチでサポートしています。
・口腔環境の詳細検査
・食生活のカウンセリング
・喫煙者へのケア(タール状物質の除去を含む)
・必要に応じた予防処置と早期治療
虫歯は予防可能ですが、世界で25億人が悩む現実は、予防がまだ十分に浸透していないことを示しています。
当サロンでは、WHOのガイドラインに基づき、野生動物とペット動物の違いから学んだ本質的な予防歯科を実践しています。
審美と健康の両面から「健美歯科」のアプローチで口腔環境をサポートします。
・遊離糖類の制限(総エネルギー10%未満、理想は5%)
・特に乳幼児は砂糖入り飲料を避ける
・禁煙
・加工食品を減らす
・よく噛める食材を選ぶ
・ダラダラ食べを避ける
・適切な道具とセルフケア習慣(適切な頻度で行う歯磨きと口内粘膜の清掃の習慣化)
・定期検診で早期発見・早期治療
野生動物とペットの対比は、食習慣が口腔疾患の本質的な原因であることを教えてくれます。
とくに喫煙は、糖質のタール化と口腔組織への浸透という二重のリスクを伴います。
フッ素や歯磨きも重要ですが、まずは食生活の改善と禁煙が最も根本的な予防策です。
デンタルサロンナチュール銀座では、こうした考え方を踏まえ、患者さんごとの状態に応じたカウンセリングと検査を行っています。
まずは現在の状態を把握することが、予防の第一歩です。
ご自身とご家族の口腔健康を守るため、まずは現在の状態を正しく把握することから始めましょう。
検査・カウンセリングの予約はこちらから。
参考資料・参考文献
1)World Health Organization(WHO). Sugars and dental caries. Fact sheet. 14 August 2025.
WHO Fact Sheet “Sugars and dental caries”(2025年8月更新)
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/sugars-and-dental-caries
2)World Health Organization. Guideline: sugars intake for adults and children. Geneva: World Health Organization; 2015.
Guideline: Sugars intake for adults and children.
https://www.who.int/publications/i/item/9789241549028
3)World Health Organization. Global oral health status report: towards universal health coverage for oral health by 2030. Geneva: World Health Organization; 2022.
Global Oral Health Status Report 2022(GOHSR)
https://www.who.int/publications/i/item/9789240061484
4)Moynihan PJ, Kelly SAM. Effect on caries of restricting sugars intake: systematic review to inform WHO guidelines. J Dent Res. 2014;93(1):8–18.
https://doi.org/10.1177/0022034513508954
5)Sheiham A, James WPT. A reappraisal of the quantitative relationship between sugar intake and dental caries: the need for new criteria for developing goals for sugar intake. BMC Public Health. 2014;14:863.
https://doi.org/10.1186/1471-2458-14-863
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