「仕事が忙しいから、できるだけ短時間で治療を済ませたい」
「歯医者はサクッと終わる方がいい」
このように考えている方は多いですが、歯科治療において 「スピード優先」 は決して最善とは言えません。
「短期間で治療を終えたい」 という希望と、「1回の治療時間を短くしたい」 という希望は、必ずしも同じではありません。
たとえば、1回の治療時間を短縮することで、結果的に通院回数が増えてしまう ケースもあります。
また、1回の治療を急いで終わらせると、
- 詰め物や被せ物の精度が下がる
- 噛み合わせの調整が不十分になる
- 仮歯や応急処置のまま、次の治療までの間に問題が悪化する
といったリスクが発生する可能性があります。
当院では、歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)を使用した精密な治療を行っています。
マイクロスコープを使用することで、肉眼では確認できない細かい歯の凹凸や詰め物の適合状態を、拡大してしっかり確認 しながら処置ができます。
しかし、視野が拡大される分、ミクロン単位での調整が可能になる一方で、処置に必要な時間も増えます。
これは、より精密な治療を行うために必要なプロセスであり、短時間で済ませる治療よりも長持ちし、トラブルを防ぐことができる というメリットがあります。
「治療期間を短縮したい」のであれば、1回の治療時間をしっかり確保し、精密な処置を行うことで、結果的に再治療のリスクを減らし、治療全体の効率を高めることができます。
「短時間で終わる治療=通院期間が短くなる」とは限らない ということを、まず理解しておきましょう。
この記事では、「1回の治療時間を短縮することのリスク」と、「精密な治療を受けるために必要な考え方」について詳しく解説します。
30分で終わる歯科治療のリスクとは?
短時間で治療が終わる歯科医院が「悪い」というわけではありません。
ただし、時間をかけて精密な治療を行う場合と比べると、以下のようなリスクがあることを知っておく必要があります。
1. 詰め物・被せ物の精度が落ちる可能性
虫歯の治療で詰め物や被せ物(クラウン)をする際、短時間での処置では 適合性が低くなるリスク があります。
・詰め物と歯の間に隙間ができやすい
・隙間から細菌が侵入し、虫歯が再発する(二次う蝕)
・かみ合わせが合わず、顎関節症の原因になる
特に、セラミック治療などの精密な補綴治療では、 しっかり時間をかけて「適合性」を高めることが重要 です。
2. かみ合わせの調整不足によるトラブル
治療後、「なんとなく噛みにくいけど、そのうち慣れるだろう」と思っていると危険です。
かみ合わせのズレは、以下のような問題を引き起こす可能性があります。
・歯や詰め物が欠ける
・顎関節に負担がかかり、顎関節症のリスクが上がる
・噛むたびに歯に過度な負担がかかり、歯の寿命が短くなる
かみ合わせは、 わずか1mmのズレでも大きな影響を与える ため、適切な時間をかけて丁寧に調整する必要があります。
3. 歯周病や虫歯の根本的な原因を見逃す
短時間の治療では、 目に見える問題(痛みや詰め物の処置)を優先することが多い です。
しかし、本当に大切なのは 「なぜ虫歯になったのか?」「なぜ歯茎が腫れたのか?」という根本原因を解決すること です。
・歯周病が進行しているのに、気づかず放置される
・かみ合わせのズレが原因で歯に負担がかかっていることを見逃す
・生活習慣の改善ができず、同じ問題を繰り返す
「とりあえず痛みがなくなればOK」ではなく、将来的に健康な歯を保つための治療を受けることが重要です。
海外では1人の患者にじっくり時間をかけるのが当たり前
・海外の歯科治療 → 保険適応外が基本。民間の保険会社に加入する。1日2〜3人の患者を診るのが一般的
・日本の保険診療 → 15分〜30分1人、1日に30〜40人以上診ることもある
海外では、1回の治療に 1時間以上かける のが普通です。
一方、日本の保険診療は 診療報酬制度の影響 により、短時間で効率的に診る必要があります。何かを省略しなければなりません。
当院では 自由診療を採用することで、1回の治療に十分な時間を確保し、精密な治療を行うことができます。
じっくり時間をかけた治療のメリット
1. 高精度な治療ができる
・詰め物・被せ物の適合性を高めることで、再発リスクを減らす
・かみ合わせをしっかり調整し、長期的に快適な噛み心地を実現
・根本原因を徹底的に解決することで、予防にもつながる
2. セラミック治療なら、美しさと機能性を両立
保険の銀歯ではなく、 セラミックで自然な歯にしたい という方には、 時間をかけた精密なセラミック治療 がおすすめです。
・自然な見た目で目立たない
・金属アレルギーの心配なし
・適合性が高く、長持ちする
セラミック治療では、 型取り・調整・接着のすべての工程が精密さを求められるため、時間をかけることで仕上がりが変わります。
3. メンテナンスとセルフケアが治療の質を決める
どれだけ精密な治療を受けても、 セルフケアが不十分だと意味がありません。
当院では、 治療だけでなく、生活習慣やセルフケアの指導にも力を入れています。
・毎日の歯磨きとフロスで、治療の効果を長持ちさせる
・定期的なメンテナンスで、再発を防ぐ
・かみ合わせのチェックを続けて、歯への負担を減らす
「歯医者に通えばOK」ではなく、 毎日の習慣が歯の健康を決めます。
まとめ:治療の質を決めるのは「時間」
短時間で治療を終わらせるメリットもありますが、 「速さよりも精度」を重視することが、長期的に歯を守るために重要 です。
・30分で終わる治療は、詰め物の精度やかみ合わせの調整が不十分になるリスクがある
・じっくり時間をかけることで、より精密な治療ができる
・歯医者の治療を活かすも殺すも、自宅でのセルフケア次第
「長持ちする精密な治療を受けたい」
「かみ合わせまでしっかり調整したい」
そんな方は、ぜひ当院にご相談ください。