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歯科専売品リステリンの意外な真実:実験から見えてきた口腔ケアの盲点

2025年3月1日

歯科専売品リステリンの意外な真実:実験から見えてきた口腔ケアの盲点

みなさん、こんにちは。今日は私が行った『歯科専売品リステリン』を使った実験結果をもとに、日々の口腔ケアについて考えさせられる発見をお伝えします。この実験を通じて、私たちが当たり前と思っている口腔ケアの習慣に、思わぬ盲点があることがわかりました。特に、マウスウォッシュと物理的清掃の関係性について、興味深い事実が明らかになりましたので、ぜひ最後までお読みください。


<実験の背景と目的>

歯科医院で専門家から勧められる口腔ケア製品は、一般的な市販品とは異なる効果があると言われています。特に歯科専売品として販売されているリステリンは、その殺菌効果の高さから多くの歯科医師に推奨されています。しかし、その実際の効果について、科学的な視点から検証する機会はあまりありません。

そこで今回、歯科専売品リステリンの実際の効果を確認するための小規模な実験を行いました。特に注目したのは、歯周病の原因となる縁下プラーク(歯肉の下に形成されるプラーク)に対する効果です。歯肉縁下のプラークは目に見えず、また通常の歯磨きでは除去が難しいため、特別な注意が必要な部分です。


▶︎詳細な実験方法

実験サンプル①:歯ブラシのみ使用し、24時間以上デンタルフロスを使用しなかった口腔清掃状態でリステリンにて含嗽した。

含嗽直後の口腔内の縁下プラークを採取

この実験では、歯科専売リステリンが縁下プラークの微生物に直接どのような影響を与えるかを観察しました。

  1. スライドガラスに歯科専売リステリンを1滴垂らす
  2. その中に縁下プラークを投入し、均一になるよう薄く伸ばす
  3. カバーガラスを被せ、密閉環境を作る
  4. 菌の活動状況を時間経過とともに詳細に位相差顕微鏡にて観察


実験サンプル②:リステリンを含んだ状態で水磨きを行い、デンタルフロスを歯肉縁下まで挿入しC字状に歯面に沿わせ歯肉縁下の歯垢除去後、

仕上げに含嗽を行なった直後の細菌を採取し活動性を評価

この実験では、実際の口腔ケアプロセスを経た後の細菌の状態を評価しました。

  1. マウスウォッシュを口内に含み、通常の歯磨きを行う(水磨き)
  2. 歯肉縁下までデンタルフロスを確実に到達させて入念に清掃
    (歯と歯肉の間にフロスを挿入し、歯面に沿わせて擦り上げるようにフロスを動かす)
  3. 清掃後に歯肉縁下から細菌を慎重に採取
  4. スライドガラスに生理食塩水を1滴たらし、歯肉縁下から採取した細菌を投入
  5. 均一になるよう薄く伸ばし、カバーガラスをかけて位相差顕微鏡にて観察
  6. 時間経過による細菌活性の変化を記録

☆追加実験:消毒用エタノールとの比較

参考として、一般的な消毒剤との効果比較も行いました。

  1. スライドガラスに消毒用エタノール(70%)を1滴垂らす
  2. 縁下プラークを投入して均一になるように薄く伸ばす
  3. カバーガラスをかけて位相差顕微鏡にて即時に観察
  4. 細菌の活動状況を確認。⇨瞬殺。観察終了。

驚きの実験結果とその解釈

各実験の結果は予想外のものでした。特に注目すべきは、同じ場所から採取した微生物に対する異なる環境での生存時間の違いです。

実験サンプル①(リステリン直接接触): 採取後8時間経過後も細菌の活動性を明確に確忍。26時間経過後も一部の菌が活動性を示していた。
歯科専売品リステリン中で微生物が24時間以上生存可能であることが判明。

実験サンプル②(口腔ケア後): 採取後約3時間でサンプル内の全ての細菌が死滅。物理的清掃とマウスウォッシュの組み合わせが効果的であることを示唆。

追加実験(エタノール): 細菌は瞬時に死滅。エタノールの即効性と殺菌効果を確認。

これらの結果から、特に興味深い点が浮かび上がりました。歯科専売リステリン単体では微生物を即時に死滅させることはできないにもかかわらず、物理的清掃と組み合わせた場合には効果的である点です。この矛盾する結果から、何が起きているのかを深く考察する必要がありました。

意外な考察:マウスウォッシュは保湿効果により逆効果の可能性

この実験結果から見えてきた最も意外な事実は、歯科専売リステリンに含まれる保湿成分が、微生物の生存に寄与している可能性があるということです。

多くの口腔内微生物は本質的に乾燥環境に弱いという特性があります。
以前の観察から、生理食塩水や他のマウスウォッシュでも、スライドガラス上では微生物はある程度の時間生存するものの、プレパラートとスライドガラスの間の液体が乾燥すると自然に死滅することがわかっています。これは主に乾燥による物理的な死と考えられます。
70%以上の消毒用エタノールでは、エタノールが蒸発しなくても菌の活動性が停止(死滅)してしまいます。これは消毒効果の高さを意味します。

しかし、歯科専売リステリンにはアルコール類は含まれていない。代わりに刺激的に感じる成分と、その刺激をマスキングするための様々な保湿成分が含まれている。
これが微生物の生存環境を好適に維持してしまう可能性があると考えます。
つまり、口内のさまざまな悪玉菌に対し殺菌効果を期待して使用しているマウスウォッシュが、使い方を誤ると皮肉にも微生物の生育を助けてしまっている可能性があるということです。

これは非常に重要な発見で、デンタルフロスを正しく使わずにマウスウォッシュだけで仕上げる習慣は、かえって逆効果である可能性が高いということを示唆しています。
忙しい朝にマウスウォッシュだけで口腔ケアを済ませる方、就寝前にデンタルフロスを行わない代わりにリステリンで仕上げるやり方は、
実は知らず知らずのうちに微生物にとって好ましい環境を提供してしまっているかもしれないのです。

今回の実験結果を通じて感じることがあります。
小学生の頃からデンタルフロスの重要性と正しい使い方を知っておくと、人生がもっと豊かになるのではないか。

これは、当院通院中の患者さんの言葉から感じたことです。以下は実験当日に来院された患者さんとの会話の一部です。

 

「もっと早く、できれば小学生のうちに正しいフロスの使い方を知りたかったです。フロスの存在自体知らなかったし、正しい使い方も知らなかったです。小学生の頃何度か歯ブラシ指導を受けたことがあるのですが、デンタルフロスは教わったことがなかったです。」

デンタルフロスを避けて通ることはできないのです。

 

<デンタルフロスの重要性と正しい使用法>

実験②の結果は、特にデンタルフロスの重要性を強く示唆しています。歯肉縁下までしっかりデンタルフロスを使用して清掃を行った後の細菌は激減し、結果2〜3時間で全て死滅したという事実は、デンタルフロスによる物理的な清掃効果がいかに重要かを明確に物語っています。

歯肉縁下へのアプローチが決め手

この実験で特に注目すべき点は、歯肉縁下にまでデンタルフロスを到達させることの重要性です。
多くの人はデンタルフロスを使用していても、歯間部の表面だけを清掃して終わってしまいがちです。
しかし、歯周病の原因となる最も危険な細菌は歯肉縁下に潜んでいます。
これらの細菌は酸素の少ない環境を好む嫌気性菌が多く、歯周組織を破壊する強力な毒素を産生します。

正しいフロスの使い方は、単に歯間に通すだけではなく、歯肉縁下まで優しく挿入し、歯の表面に沿ってC字型に巻きつけつつ、歯の表面についた歯垢を擦り上げるように動かすことです。このテクニックを使うことで、歯ブラシだけでは絶対に届かない歯肉縁下のプラークを効果的に除去できます。

ただし、強すぎる力で間違った方向にフロスを使用すると歯肉を傷つける可能性があります。
丁寧に行うことが重要です。
また、フロスの清掃面が汚れたら速やかに水で洗い流し、再度同部位を入念に清掃し歯垢が取れなくなったら次の部位へ移動する。
細部まで注意を払うことで効果が大きく変わります。

歯肉縁下のプラークは口臭や歯周病の主な原因となるだけでなく、その毒素は血流に乗って全身に運ばれ、様々な全身疾患のリスク要因となることが近年の研究で明らかになっています。適切にデンタルフロスを使用することで、虫歯や歯周病リスクを大幅に減らすだけでなく、全身の健康維持にも貢献できるのです。

<日常の口腔ケアへの具体的な示唆>

この実験結果は私たちの日常の口腔ケアに重要な示唆を与えています。これらの知見をもとに、効果的な口腔ケアの手順を以下のように提案します

  1. デンタルフロスが最も重要:特に歯間や歯肉縁下のプラーク除去には、デンタルフロスが最も効果的です。
    矯正中の方は毎食後必ず行なってください。
    矯正中でない方は毎日少なくとも一回、できれば夜の歯磨きの際にフロスを使用しましょう。
  2. 歯ブラシだけでは不十分:歯ブラシだけでは歯間部や歯肉縁下の清掃が物理的に不可能です。歯ブラシは歯の表面の約70%しか清掃できないという研究結果もあります。残りの30%はフロスでケアする必要があります。
  3. マウスウォッシュは補助的役割のみ:マウスウォッシュは単独使用ではなく、デンタルフロスと歯ブラシによる物理的清掃の後の補助として使用すべきです。これにより、物理的に除去したプラークの残留物を洗い流し、一時的な抗菌効果が期待できます。
  4. マウスウォッシュだけでは逆効果の可能性:忙しい朝などにマウスウォッシュだけで済ませる習慣は、むしろ微生物の環境を維持してしまう可能性があります。特に保湿成分が多いマウスウォッシュは、細菌にとって好適な環境を提供してしまうかもしれません。
  5. 正しい順番を守る:最も効果的な口腔ケアの順番は、
    ①歯ブラシ→②デンタルフロス→③ワンタフトブラシ→④舌で舐めてザラザラ、ヌルヌルする部分を見つけたら再度フロスやワンタフトブラシに戻って清掃する。④のように確認作業をすると、それぞれのツールの特性を理解することとなり効果を最大限に引き出すことができます。
    最後にマウスウォッシュで仕上げます。水やマウスウォッシュを少量含んだまま磨く水磨きも効果的です。
  6. 定期的なプロフェッショナルメンテナンスを受ける:どんなに丁寧なセルフケアを行っていても、プロフェッショナルなケアは欠かせません
    定期的なクリニックでのメンテナンスを受け専門的なクリーニングを習慣づけましょう。

実験の限界と今後の研究課題

この実験はあくまで小規模なものであり、科学的厳密性の点では限界があります。より確実な結論を得るためには、以下のような点を考慮した追加実験が必要でしょう

  1. より多くのサンプル数での検証
  2. 異なる種類のマウスウォッシュとの比較
  3. さまざまな細菌種に対する効果の差異の分析
  4. 長期使用における効果の検証

また、口腔内環境は個人差が大きく、同じケア方法でも効果に差が出る可能性があります。年齢、食習慣、全身疾患の有無なども考慮すべき要素です。

この実験は小規模なものですが、日常の口腔ケア習慣を見直すきっかけになれば幸いです。

<まとめ>
効果的な口腔ケアのためには、デンタルフロスを中心とした物理的清掃が最も重要です。
その後補助的にマウスウォッシュを使用する包括的なアプローチが推奨されます。

特に歯肉縁下までデンタルフロスを到達させることの重要性は、今回の実験でも明らかになりました。
正しい方法で使用すれば、デンタルフロスは歯周病予防の最も強力な武器となります。

毎日の口腔ケアは、単に口臭予防や見た目のためだけではなく、全身の健康維持にも深く関わっています。

この記事が皆さんの健康維持の一助となれば幸いです。

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